万延元年遣米使節が持参した将軍徳川家茂よりブキャナン大統領宛国書等の米国公文書館、スミソニアン博物館訪問調査
ワシントンのアメリカ国立公文書記録管理局(NARA)には、日本の公式外交使節である万延元年遣米使節が、当時ブキャナン大統領に手渡した徳川家茂公よりの親書である国書が保存されています。 今回、米国日系退役軍人協会元理事島氏にお願いし、米国下院議員(Chris Van Hollen)の方よりNARAに嘆願書を出していただきました。その結果、その閲覧の特別許可を受けました。 徳川宗家十九代徳川家広様、東京大学史料編纂所横山伊徳教授、国立歴史民俗博物館福岡万里子准教授、大阪市立大学彭浩准教授の三名の研究者の方々にご参加いただき、三日間(10月31日~11月2日)の閲覧調査が行われました。詳細はこちらをご覧ください。
10月31日(水)スミソニアン博物館サポートセンター


(Smithsonian Websiteより)
11月1日(木)NARA at Washington DC

米国国立公文書館所蔵(画像提供)

徳川記念財団所蔵(画像提供)転載禁止
11月2日(金)NARA College Park
今回調査した遣米使節が持参した贈り物、この国書については、下記Websiteにて公開されています。
今回は調査のほか、NAVY YARDへ司令官を表敬訪問、当会寄贈の万延元年遣米使節記念碑を再訪、日本大使公邸へ杉山大使表敬訪問、最後は徳川家達公爵ゆかりのレストランでの夕食会で終了しました。 三日間の大変貴重な閲覧調査を終え、徳川幕府が万延元年遣米使節を日本の公式外交使節として派遣したことを改めて認識しました。 また、徳川様のご調査、先生方による幕末史のご研究に資することを願っています。同時に、今回米国で閲覧した万延元年遣米使節の素晴らしい歴史遺品を、このウエブサイトを通じまして、このような意義ある活動をご紹介できますことは当会の意図するところです。
万延元年遣米使節が持参した将軍徳川家茂よりブキャナン大統領宛国書等の調査(2018年10月31日~11月2日)
【訪問先】
10月31日 | スミソニアン博物館サポートセンター |
11月1日 | 米国国立公文書館(NARA at Washington DC) ワシントン米国海軍(NAVY YARD) |
11月2日 | 米国国立公文書館(NARA College Park) 日本大使館公邸 ウイラードホテル オキシデンタルグリル |
【参加者】
- 徳川宗家十九代徳川家広様ご夫妻
- 横山伊徳先生(東京大学歴史編纂所教授)
- 福岡万里子先生(国立歴史民俗博物館准教授)
- 彭浩先生(大阪市立大学准教授)
- 万延元年遣米使節子孫の会会員 村垣孝理事長、宮原万里子理事、宮原透
詳細は、それぞれの日にちをクリックしてください。
【2018年10月31日】
ここに掲載するすべての写真はSmithsonian Institution,National Museum of Natural Historyにて当会が撮影したものです。
午前10時20分ANA002便でワシントンDCに到着午後2時、使節が持参したブキャナン大統領への献上品の品々を特別に閲覧できるように、事前に申請、手配をしていただきました福岡万里子先生、彭浩先生と現地で合流し、担当者の方々にご案内頂きました。

家茂から大統領へ贈られた馬具、翠簾屏風、書棚、柄杓、三名の使節から大統領へ贈られた火桶3個、及びペリーが日本より持ち帰った遺品を閲覧しました。スミソニアン博物館 Website 参照












(※こちらの徳川家と細川家家紋入り駕籠を閲覧しました。)
ペリーの『日本遠征記』によると、ペリー来航2回目の際には、ペリー側からアメリカの土産が献上され、同時に日本から多くの贈答品が送られました。



使節がホワイトハウスで大統領に謁見の際、ペリーの硯箱が飾られていたと書かれています。



【2018年11月1日】
午前10時より、国立公文書館(NARA ワシントンDC)にて、一昨年の見学時にお世話になったJANE女史の案内で、日米修好通商条約書、批准証書を閲覧(こちらは写真撮影禁止)。

NARA at Washington DC

画像提供 NARA
德川家茂の署名、徳川幕府が外交公文書の為に作った印(経文緯武)が押され、村垣範正の日記に「~、またわが大君の御名と経文緯武のご判~」と記されているものと同じ体裁になっています。 その印は德川宗家の蔵から発見され、2018年8月に公開されました。
午後2時、米国海軍Navy Yardに到着。
入所手続きを済ませて、ワシントン地区司令長官室へ案内され新任の司令官と面会しご挨拶。
司令長官室には2016年に村垣理事長から寄贈された1860年の遣米使節一行のWashington Navy Yard訪問時の写真が飾られていました。


【2018年11月2日】
午前10時、米国国立公文書館(NARA College Park)訪問。

特別の部屋に案内され、関係品29点のうち、国書を含む4点の閲覧が許可されました。
- 万延元年遣米使節持参の家茂からブキャナン大統領宛て国書
- 使節芳名帳
- 安政5年ハリス信任状に対する将軍返書
- 文久元年家茂開市開港延期要請国書


国書については、村垣の日記に「金泥の料紙、内箱は大和錦~」と記載されています。大きな料紙に大変美しい文字で書かれています。(福岡先生が先方からご回答いただいた国書の寸法は、約46㎝×182㎝、箱59cm x 16.8cm x 6.6cm、印影9.0㎝×9.1㎝)
箱は、当時の新聞の絵に見られる成瀬が持っている箱より実際はかなり大きなものです。 国書には「将軍自ら選び任を委ねる三臣に敬を与えることを請う」と書かれており、まさに現在における特命全権大使に国家元首から与えられる信任状のようです。新見正興、村垣範正、小栗忠順の三人が、使節であるを示しています。
国書の現代語訳はこちらをご覧ください。
万延元年遣米使節より奉呈された将軍徳川家茂からブキャナン大統領宛親書

徳川記念財団提供(転載禁止)
杉山晋輔特命全権駐米大使を表敬訪問いたしました。

閲覧調査の最後は、ウィラードホテルのオキシデンタルグリルでのディナーに徳川家広様ご夫妻、横山先生、福岡先生をお招き致しました。 大正十年(1921年)、ワシントン軍縮会議に出席された徳川家達公爵も訪れたと思われるこのレストランには、政界などの有名人の写真が飾られており、その中に唯一の日本人、家達公爵のお写真があります。




三日間の大変貴重な閲覧調査を終え、徳川幕府が万延元年遣米使節を日本の公式外交使節として派遣したことを改めて認識いたしました。また、徳川様のご調査、先生方による幕末史のご研究に資することを願っています。同時に、今回 米国で閲覧した万延元年遣米使節の素晴らしい歴史遺品を、このウエブサイトを通じまして、閲覧提供できますことは 当会の意義ある活動の一つであると考えます。
宮原万里子 報告